今回は店舗ビジネスで、
「現状の集客が上手くいってない・・・」
「もっとデジタルマーケティングを活用し事業を伸ばしたい・・・」
こんなお悩みをお持ちの店舗ビジネス経営者・マーケティング担当者向けの記事です。
みなさん、こんにちは。
「営業担当から探せる、広告代理店探しZokujin」を運営している木村(@zokujin_kimura)です。
今回はアンカー株式会社執行役員の安本さんに、店舗ビジネスの集客方法についてお話を伺いました。
店舗ビジネスといっても、エステやクリニック、学習塾など様々な種類がありますが、コンプライアンスの関係で本記事では店舗ビジネスと呼ばせて頂きます。
とはいえ店舗ビジネスでは、競合が多い点や、リスティングのクリック単価が高いなど共通点があると思いますのでとても参考になる内容になると思います。
もくじ
はじめに
大阪を拠点にデジタルマーケティング支援を行うアンカー株式会社で事業開発部責任者として活躍される安本さんにお話を伺いました。
安本さんは執行役員でありながらクライアントとのやり取りを行いながら事業開発を目的としたプロモーションの全体設計や実行〜検証までを担当されております。
結論、店舗ビジネスの集客で大切なことは?
安本さん:まずは「市場・自社・ユーザー」の理解をしっかりと行うことが大切です。
Zokujin:「市場・自社・ユーザー」の理解・・・。詳細は後ほど聞かせてください!
店舗ビジネスのマーケティングが得意な背景は?
安本さん:店舗ビジネスのクライアントと二人三脚で業界No1を目標に事業拡大を実現できた経験があります。
通常デジタルマーケティング業界では、営業担当とマーケター担当に分かれてクライアントを担当しますが当社では営業担当は置かず、マーケターが全てを担っています。理由は戦略から一気通貫した施策を展開するためです。
そのためマーケターがクライアントのフロントに立ち、マーケティングの戦略設計・広告運用・クリエイティブ設計・効果検証も行います。僕も実際に施策を展開する中で『市場・自社(クライアント)・ユーザー』の理解は特に時間をかけて行ったので、店舗ビジネス業界の知見を持つことができました
どのような実績をお持ちでしょうか?
安本さん:お取引をはじめた当時は数店舗でしたが、クライアントと一緒に試行錯誤を繰り返し1年半で50店舗以上まで拡大できた実績があります。
Zokujin:すごい…(汗)1年半でそこまで事業拡大できたのはなぜでしょうか?
安本さん:一言で言うとクライアントと弊社がバッチリと「噛み合った」からです。
クライアントはスピーディーに展開するため店舗拡大のための不動産探しや人材採用・育成に集中いただき、僕たちは同時進行でマーケティング面で費用対効果よく集客をサポートさせていただきました。
集客が上手くいったとしても、店舗ビジネスなので受け入れ先の店舗がないといけません。もともと数店舗だったので集客状況に合わせて店舗拡大の動きをクライアントに行っていただきました。
Zokujin:店舗ビジネスのマーケティングは難易度が高いと思いますが、集客が成功した要因は何でしょうか?
安本さん:「戦略的LP設計」と「細かなリスティング広告の運用」の2点が大きな要因ですね。
1点目の「戦略的LP設計」を行った理由は、Web上でのコンバージョン率と来店時の契約率が低かったからです。契約率が低い点を改善するためにもLPでコンバージョンの質を変えていきました。
Zokujin:どのようにLPでコンバージョンの質を変えたのでしょうか?
安本さん:まずはユーザー理解に努めました。
ユーザーが広告をクリックし、LPを見てアクションいただくまでの流れの中で、コンバージョンに繋がりやすい情報についていくつか仮説を立てました。
リアルな情報を得るため、ユーザーにLPから申し込みに至った経緯を聞いたり、カウンセリングにご来店されたユーザーに契約しなかった理由を直接聞くなど、仮説の裏付けを行うことで戦略的LP設計の精度を高めていきました。
また、コンバージョンの質を上げるためにトライアル料金の検証も行っています。トライアル施策はユーザーとの初回接点の機会を増やすために実施していましたが、無料トライアルにするとトライアル目的のコンバージョンが多発してしまう可能性があります。接点は増やせても成約にはつながらず、コンバージョンの質が下がってしまいます。
トライアル施策によるコンバージョンの質の低下を改善するために、無料トライアルか、料金発生型のトライアルでどちらが契約率が良いのかなども含め検証しました。
Zokujin:ユーザー理解の大切さがわかりました…!コンバージョンの質に続いてコンバージョン率はどのように改善したのですか?
安本さん:「競合・自社(クライアント)・ユーザー」の理解の徹底です。
僕たちがLPに強い理由は、顕在層が検索するキーワードで広告出稿している競合企業たちとどうやって戦うか、戦略をしっかり設計するからだと思っています。そのためには「競合・自社(クライアント)・ユーザー」理解が必須です。
分析について、まずは情報整理から始まります。具体的には競合となる検索面上位5社程度のLPをピックアップし、情報を1枚のシートに整理。料金やキャンペーンなど各要素について細かく自社(クライアント)と比較します。情報を整理することで競合と比べた自社(クライアント)の強み弱みが明確になります。
分析が終わったら、ユーザーが競合と自社(クライアント)を比較検討している中でどうやったら自社(クライアント)を選んでいただけるかをしっかり把握しLPに落とし込みます。
ちらっとネットで調べた程度の薄っぺらい分析では効果的なLPは作れません。だから僕たちはなるべくクライアントのサービスを顧客として体験し、そのうえでクライアントに細かく質問しています。どんなに調べても僕たちよりもその業界にいる人の方が知見があると思っているので、まずは直接聞いて勉強です。
たとえば業界構造はもちろん「なぜその価格設定なのか」「クライアントのサービスレベルはどうなのか」「なぜ値段が高いか」などを質問し理解を深めました。
Zokujin:競合と自社を相対評価をした際に自社の強みが見当たらない場合はどうすれば良いですか?
安本さん:そもそもマーケティングを考える前にサービス自体を改善したほうが良いですね。競合に勝てる強みを作ることや、まずは競合と並ぶラインまで改善していくことを先にやるべきです。
実際に戦略的LP設計や広告運用だけで勝てないと判断したときは「Web施策はやらないほうが良いと思います」といったこともありますよ(笑)そういうケースでは広告提案の前にサービス改善の提案をさせていただきます。
僕たちはあえて伝えづらいこともクライアントに伝えるようにしています。「なんでもできます!」みたいな御用聞きになってしまうとクライアントと弊社どちらのためにもなりません。クライアントの事業成長がまず先にあって、その後に僕たちの事業の成長につながると考えています。
Zokujin:まずは勝てるサービスにするということですね。広告周りだと、店舗ビジネスの検索連動型広告はクリック単価が高いとよく聞きますが、リスティング広告運用の部分はどのように改善したのですか?
安本さん:おっしゃるとおり店舗ビジネス系はクリック単価が高く、商材やキーワード、品質スコアによって100円〜1,000円程度の振れ幅があり、CPA(顧客獲得単価)は高騰しがちです。
僕たちが関わらせていただく前もCPA(顧客獲得単価)は高い状況でしたが改善を行い、当初から4割ほどCPA(顧客獲得単価)を削減することができました。
検索連動型広告の改善で実施したことは下記2点です。
・品質スコアを向上させるためのアカウント設計
・キーワードごとの日々の細かい入札調整
アカウント設計の変更は過去の配信実績から効果の良い検索クエリを抽出。抽出したキーワードを入稿し、機会損失を発生させないようコントロールしやすいように設計しました。
アカウント構造については、複数回変更してます。広告効果を上げるためにアカウント構造は重要な要素です。当初Hagakureという媒体推奨のアカウント構造になっていなかったのでまずはHagakure構造に変更し、セオリー通りのアカウント構造で運用を始めました。
セオリー通りのアカウント構造で運用し改善傾向にありましたが、さらにCPA(顧客獲得単価)を下げるためには広告の品質を示す品質スコアを上げ、クリック単価を下げることが必要でした。
品質スコアをさらに上げるため、あえてセオリー通りではなくキャンペーンをエリア別に分けキャンペーン数を増やす構造に変更し、結果狙い通り品質スコアは上がりました。
品質スコアの向上についてさらにお伝えすると、アカウント構造以外にもTD(広告文)とLPの改善を行い品質スコアの向上を狙っていきました。
TD(広告文)には、検索ユーザーが探しているであろうエリア名を入れユーザーの検索意図にあった広告文を入稿しクリック率の向上を狙い、
LP改修では先程と重複しますが、まずは「競合・自社(クライアント)・ユーザー」の理解を行い、情報の整理を行った上で、コンバージョン率の改善を行っていきました。
とにかくCPA(顧客獲得単価)を落としながら同時に獲得数を増加させるため、双方的に改善施策を行いましたね。
Zokujin:かなり細かく運用されていたのですね。店舗ビジネスなので受け入れのキャパがあると思うのですが、キャパのコントロール等はどうしていましたか?
安本さん:事業としての方向性が拡大路線だったため、キャパによる集客のコントロールではなく、集客状況に合わせてキャパをコントロールしていました。広告予算の上限という概念は持たず、CPA範囲内であればアクセルを踏みつづけ、顧客を受け入れる余裕がなくなったらクライアントに新店舗の物件を開拓してもらっていましたね。
デジタルマーケティングは僕たちが担い、クライアントには新規出店など、マーケティング以外に全リソースを割ける環境をつくり、とにかく店舗拡大に向けて動いていただいていました。
通常では考えられないようなスピードで店舗数を増やしていたので、不動産以外にも、採用や育成などクライアントが注力すべきことはたくさんありました。仮にクライアントがマーケティング面にも多くのリソースを割いていたら、ここまでスピーディーな店舗拡大はできなかったかもしれません。
まずやったほうが良い施策はありますか?
安本さん:その店舗ビジネスが目指している方向性にもよりますが、事業拡大を目指しているなら、いかにして顕在ユーザーを取り切るかが大切です。検索連動型のリスティング広告やアフィリエイトも含め「検索面をどのように網羅的に攻略するか」をまずは考えていただきたいです。
拡大路線ではなく1店舗や数店舗などの小規模でしっかり集客していきたいのであれば、財務状況にもよりますが、検索連動型のリスティング広告はやらないほうが良いと思ってます。小規模店舗であれば店舗状況に応じて集客数をコントロールしやすく、刈り取り施策から認知施策までできるFacebook・Instagram・Youtubeなどのディスプレイを攻めた方が良いですね。
多くの場合どこのエリアでも、拡大路線の競合が存在すると思います。そして拡大路線の競合はある程度の資本力を持ってます。資本力がある競合と戦うにあたり、クリック単価の高い検索連動型のリスティング広告を小規模のビジネスで実施しても、費用対効果が合わせづらく戦いつづけられません。
だから検索連動型のリスティング広告ではなく、Facebook・Instagram・Youtubeなどのディスプレイを攻めた方が良いと思いますね。
あまり知られていないけど実施した方が良い施策はありますか?
安本さん:量をとるなら潜在層へのアプローチが必要となりますが
その場合Youtube広告は実施した方良いとですね。コンバージョンが想像以上に取れます!
記事LPってよく見かけると思いますが、記事LPの目的は潜在ユーザーに記事LPを読んでもらい、潜在ニーズから顕在ニーズに引き上げることです。Youtube広告でも同じように潜在ニーズから顕在ニーズに引き上げることが可能です。検索面が頭打ちになってしまったケースなど、Youtube広告でコンバージョン件数を最大化すると良いと思います。
ただ、単にYoutube広告を出稿してもコンバージョン取れるわけではありません。いかにユーザーに『すっと入るクリエイティブ』で出稿できるかが重要です。今だとストーリー仕立てのアニメ調クリエイティブはおすすめですね。違和感なく自然にストーリが入ってくるので、潜在ニーズから顕在ニーズに引き上げやすいです。
コンサルティングをする上で意識していることがあれば教えて下さい。
安本さん:「顧客理解」と「やりきる」の2点を意識してます。
Zokujin:ここまでのお話を聞くと顧客理解を意識されていることはとても印象的でした。「やりきる」を意識している背景は何でしょう?
安本さん:支援を始めてから集客が上手くいくまでに半年ほどかかることもあります。軌道に乗るまでの間、クライアントのスケールを見越して僕たちもぐっと耐え忍ぶこともある。
広告代理店業はクライアントの事業が伸びないとスケールしません。僕自身、広告主側で働いていたことがあるのでわかるのですが、生半可にやっても事業って伸びないんです。だからこそやりきることを意識しています。
特に支援を始めたての初動は自社の利益だけを最優先に考えていてはクライアントの事業は伸ばせません。クライアントの事業成長が最優先。そこを前提に、やりきることで初めてクライアントの事業を促進できるような集客パワーを送れると思っています。
Zokujin:確かに生半可で事業が伸びるわけがないですね。では、取引する広告代理店を選定している場合、どのように熱量の高さを見極めたらよいでしょうか?
安本さん:提案前のヒアリングの深堀り方だと思います。
現状のCPA(顧客獲得単価)などのKPI(重要業績評価指標)について質問されることは当たり前だと思いますが、売上高や成約数、利益率を示すKGI(重要目標達成指標)を意識した深い質問ががあるかは判断材料の一つになります。
広告代理店が支援できる手段はどの広告代理店でもほとんど同じです。ですが、手段に走りがちな広告代理店が多い。マーケティングでは手段は二の次三の次であり、ゴールイメージがあった上で、ゴールに向かうための施策優先順位や全体戦略を描くことが大切です。
中期的に見た全体戦略が大切なマーケティングを広告代理店が支援する上で、売上や利益に関わる質問がないということは、売上や利益増加は考えていないと考えられます。普通に考えて、KGIを達成するための重要な情報がなければ事業を伸ばすためのマーケティングはできないですよね。
そのため広告代理店から提案をもらう前のヒアリングで「どれだけ事業の深い部分まで質問されるか」は事業成長まで考えてくれる熱量を持ったパートナーかを判断する上での一つの判断軸になると思っています。
アンカー株式会社の企業情報はこちら
https://zokujin.com/company/1301/